睡眠の質を効果的に向上させ、入眠障害・不眠から脱却する方法【光編】
勿論、暗ければ暗いほど寝やすい環境であるということは多くの人たちが知っている事実であると思いますが、今回の記事では、真っ暗な部屋で効果的な睡眠が如何にして生まれるのかというメカニズムとメリットを公開します。
早速紹介していきます。
人間には皮膚にも光の受容体がある
意外かもしれませんが、人間には網膜以外に皮膚にも光を認識する受容体があります。その証拠を裏付ける実験として、コーネル大学の研究チームが次のような実験を行いました。
といった具合で、眼を覆うだけでは不十分であるということがいえます。
ここで登場してくる「メラトニン」は睡眠にとって非常に需要な役割を果たしています。メラトニンは、脳内の松果体と呼ばれる部位から分泌させる物質で、外の明るさが暗くなるにつれて自然に分泌され、特に睡眠中に分泌されます。
メラトニンはGAVAのような睡眠を誘発する効果はありませんが、睡眠できる準備が整うと、体内時計に働きかけてその情報を各細胞に伝達させる働きがあるため、睡眠を促すのではなく、熟睡を促す物質であるといえます。
従って、メラトニンが人間を熟睡に最適な状態に移行させるので、睡眠には不可欠な物質であるといえるのです。
メラトニンの分泌と効能
メラトニンの分泌
人間が朝起きると、自然と覚醒状態となります。すると体内時計が始動し始めます。
この体内時計の始動から14~16時間程度経過すると、メラトニンの分泌が開始し始めます。こうして、深部体温の低下、手足の温度上昇など様々な変化が訪れて睡眠に最適な状態へと移行していきます。
しかし、近代は夜でも明るい状態に身を置くことは非常に簡単なことです。蛍光灯やブルーライトといった人工の光は、メラトニンを減少させるトリガーになってしまっているのです。
メラトニンの効果
メラトニンが睡眠の質を高める他、人体には次のような好影響を与えます。
- 免疫機能の強化
- 血圧を正常に保つ効果
- アルツハイマー等に見られる、脳内での血小板の発生を抑える効果
- 白血病を含む、がん細胞の増殖、成長の抑制
- 細胞の抗酸化作用による新陳代謝の促進(活性酸素の除去)
- 甲状腺機能の改善
- 骨粗しょう症リスクの低下
真っ暗な部屋の作り方
遮光カーテン
人工の光
メラトニンを増やす日中の過ごし方
その日の睡眠中のメラトニンの分泌量は、朝起きてから既に始まっています。結論から言ってしまうと、メラトニンは光を浴びた量に大きく関わるということです。太陽光の光が人間のメラトニンの生成・分泌に深くかかわっているということです。
古代から人間が浴びてきた光こそが太陽光です。メラトニンに限らず、太陽光のスペクトルは様々なホルモンの調節に役立っているということなのです。
つまり、昼に太陽光を多く浴びて、夜はできるだけ光(人工光)を浴びないようにすば、熟睡により効果的といえます。
これだけではありません。光だけでなく、他のホルモンとのコンボ技を繰り広げることで、さらに良い熟睡を促すことが期待できます!
悪名高い「コルチゾール」の正体
コルチゾールという名称を聞いたことはありますか?
コルチゾールは俗にストレスホルモンと揶揄されて悪者扱いされている場面を目にしたことはありませんか?
数多くのホルモンが存在する中、コルチゾールは唯一の問題児とされていますが、体内で分泌されている以上、人間には必要なホルモンなのです。
コルチゾールは副腎皮質ホルモンの一種で、その中の糖質コルチコイドと呼ばれる化学物質です。主に、タンパク質から生成される糖の生成を促し、血糖値を上昇させる作用を持っています。
すなわち、コルチゾールは人間が動くためのエネルギー源となっているのです。さらに、前述したメラトニンの分泌量に反比例するように分泌されます。
従って、昼間のはメラトニンが少ない代わりにコルチゾールが多く分泌され、夜間はメラトニンを多く分泌する代わりにコルチゾールが少なく分泌されます。
つまり、コルチゾールが正常に分泌されていない人は、
「仕事や勉強で忙しいのに、コルチゾールの分泌量が少なくてベッドから手を離せない。かと思ったら、帰ってきた後は疲れているはずなのにコルチゾールの分泌量が多いせいで神経が高ぶり寝つけない」
というサイクルをしてしまいます。これを避けたい、あるいは卒業したい方は、部屋を真っ暗にしたり、日中に太陽光に浴びるなどして対策を練りましょう。
又、日中まで寝るという話題に関しては、似た題材で議論している記事がありますので、そちらもご覧ください。
まとめ
人間は、太古から築かれたリズムに則って生活しており、今でもそのリズムは崩壊していません。ですから、昼は明るく、夜は暗くというのが一般的なんですね。
ですから、夜暗くして寝るということに関しては、基本的にメリットしかありません。
もしあなたが、睡眠に関して問題を抱えている場合は、前述したような技を使ってホルモンを最大限に活用して、本来の生活リズムを取り戻すことをお勧めします。
更に、睡眠が我々に与えてくれる恩恵は、不快な朝を迎えることのない快適な生活だけではありません。
勉強やスポーツなどにも十分応用できます。科学的な実験結果に基づいた理論を紹介している記事がありますので、そちらも参考にしてください。
参考文献
『チャート式シリーズ 新生物』
『SLEEP』 ショーン・スティーブンソン著 ダイヤモンド社