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【2020更新】試験期間の徹夜には効果が期待できるのか? 睡眠を活かして賢く勉強する

 

最近私は、勉強やスポーツ、ゲームなどを徹夜して続ける人たちをよく見かけます。

しかし、睡眠に関する内容を調べているうちに、徹夜という存在に疑問を抱くようになりました。今回の記事では、睡眠が記憶に与える影響、徹夜の影についてまとめました。

 

昔から睡眠は人間の記憶に大きく関わっているという研究が活発に行われてきました。

 

しかし、その研究論文のどれをとっても睡眠による記憶の低下や忘却などは見られることは無く、むしろ覚醒している個体に比べてより鮮明に物事を記憶していたのです。

 

つまり、睡眠は 勉強の効率を上げてくれる一つの方法なのです。

 

今や「昼寝は怠けの象徴」という認識も崩壊しつつあります。

 

 

寝ると効率的な勉強ができるのは本当か。

過去のデータを見る限りでは本当であると言えます。

眠ると、テストの成績が上がる

1924年に睡眠と記憶を関連づける最初の論文が発表されました。

この論文では、健康な人間を対象にアルファベットを組み合わせて作った10個の無意味な単語を午前10時に記憶させました。

 

その後、1~8時間の間「覚醒させたグループ」と「就寝させたグループ」の2グループに分離し、それぞれに覚えさせた単語を想起させる実験を行いました。

 

すると、就寝していたグループの方が覚醒していたグループよりも、遥かに単語の忘却が少なかったのです。

 

この実験の考察では、

睡眠中は覚醒時に比べ外部からの刺激が少ない為、記憶に干渉が起こらないから忘却が少ない。

という解釈をしています。この考え方を「干渉説」といいます。

しかしこれは、かなり昔の研究です。

以降の研究では、睡眠が記憶に与える影響はこれだけではないことが分かっています。

睡眠は、記憶を維持させるだけでなく「記憶の強化」も行う

昨晩はうまくできなかったことが、2日経ったら突然できるなったり、テキストが暗記できるようになるといった話はしばしば耳にします。

 

これらは、普段の努力と睡眠が関わっていると言われています。

 

2000年に発表された論文では、一回のトレーニングの後に24時間以内に再テストを行うがその際、最低でも6時間の睡眠をはさむことでテストの成績の改善が認められるという報告があります。

 

他にも、スイスのでは次のような実験が行われています。

学生60人を対象とした実験で、午後10時にすべての被験者に初めて耳にするオランダ語を学習させます。

そのうち半数である30人には仮眠室で仮眠をとらせ、残りの30人には学習室に残ったまま、学んだ単語のリスニングを行ってもらいます。

 

こうして午前2時に仮眠中の学生を起こし、60人で学んだオランダ語の試験を実施しました。

 

すると、覚醒していたグループはリスニングをしていたにも関わらず、睡眠を一度とったグループの方がそうでないグループに比べて高いスコアを出しています。

 

このように、睡眠中には記憶の維持のみならず、記憶の強化が行われているということになります。前述した「干渉論」では説明がつかないことが分かるかと思います。

 

睡眠で強化されるのは勉強だけではない。

睡眠では、単語や図形といった物を暗記することだけを強化したりする訳ではありません。

 

宣言的記憶のほかに宣言的記憶もカバーしてくれます。 

 

宣言的記憶と非宣言的記憶について

宣言的記憶とは

宣言的記憶とは、簡潔には言葉や文章で説明することができる記憶のことです。

例えば、「今日、山へ散歩しに出かけた」といった、時間や場所などの自身の体験を伴う記憶は宣言的記憶に当たります。

他にも、「山」とか「散歩」といった出来事に無関係な一般的な事項も、これに値します。

すなわち、先ほど説明したような単語を覚えさせる実験は、睡眠によって宣言的記憶がどう変化するかを測定したものとなります。 

宣言的記憶とは

対して非宣言的記憶とは、言葉や文章で説明することのできない運動能力や技能に関わる記憶のことです。

例えば、車の運転の仕方を他人に説明しろと命令されても、ハンドルの切り方やウインカーの出し方などの説明ができる程度で、道路の曲線に対してハンドルを切る角度や、車幅、車体の長さ、車高、重量といった車体の感覚は、説明しろと言われても非常に困難なことです。

こうした記憶(記憶というよりは「感覚」や「癖」といった方が分かりやすいかもしれませんが。)のことを非宣言的記憶といいます。

 

また、スポーツやゲームにおいても同じです。ゲームキャラクターの操作手順を教えても、すぐにはうまく操作できませんね。ある程度の慣れが必要です。

 

睡眠にはこうした、非宣言的記憶にも効果的に作用して強化してれます。

 

スタンフォード大学の男子バスケ部を対象にした実験でも、40日の間にシュート率と80メートル走のタイムが飛躍的に上がったという結果からも、明らかであるといえます。

 

徹夜について

これまでの議論をまとめると、試験前の徹夜は効果的ではないと言えます。

 

さらに、徹夜は効果が無いだけでなく数多くの深刻な弊害を私達に突きつけてきます。

これらの徹夜や睡眠不足による深刻な弊害に関する情報は後日、まとめて公開します。こちらの記事で、睡眠不足の慢性化と弊害について掲載しています。 

 

www.george-san.com

 

それでは失礼します。

 

参考文献

 Stickgold, R, et al : Visual discrimination tasc improvement  *1

スタンフォード式 最高の睡眠』 西野精治 著 サンマーク出版

『睡眠の科学 改訂新版』  櫻井武 著 講談社ブルーバックス