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不眠症に悩んだ挙句、手に入れた知識をまとめています

コーヒーは健康に良いのか?

今回の記事では、コーヒーが人体に与えるメリット、デメリットについて紹介していきます。

コーヒーに限らず、多くの食品には摂取することで人体に何らかの形となって影響します。しかし、注意してほしいのは、メリットとデメリットが存在するということです。更に、健康に良いといっても飲み過ぎは禁物であり、適量と飲み過ぎの境界線にも個人差があります。そのあたりを注意しながらご覧ください。

 

 

 

コーヒーを飲むメリット

コーヒーから得られる恩恵は多く存在しますが、大きく分けて「急性作用」と「慢性作用」の二種類に分けられます。このうちの急性作用は、飲んですぐに表れる効果のことで、「コーヒーを飲むと眠気が覚める」という作用はこれに当たります。

対して、慢性作用は継続的に飲むことで現れる効果のことです。例えば「乱れた食生活や生活習慣は様々な疾患のリスクを高める」などはこれに当たります。

コーヒーの急性作用によるメリット

 コーヒーを飲むことで得られる急性作用は主に次のようなものです。

  • 中枢神経の興奮による眠気覚まし
  • 筋骨格の活発化による疲労の回復
  • 胃液の分泌による消火促進
  • 大腸の活発化による便通の改善
といったところです。
この中でも、眠気覚ましは特に有名な急性効果のうちの一つです。
コーヒーはなぜ眠気覚ましができるのか

本題からズレるかもしれませんが、この疑問についても一応説明しておきます。

人間が目覚めている間は、つねにアデノシンという副産物が発生しています。そしてそのアデノシンは、アデノシン受容体というタンパク質と結合します。こうして結合していくうちに、ある程度の結合レベルに達すると眠気を催します。

しかしコーヒーなどに含まれるカフェインは、このアデノシン受容体に結合することが出来ます。従って、カフェインと結合した受容体は、本来結合すべきアデノシンと結合することが出来ず、眠気が訪れないということになるのです。

コーヒーの慢性作用によるメリット

 次に、コーヒーを飲み続けることによるメリットについて紹介します。

コーヒーによる慢性作用は次のようになります。

  • 2型糖尿病(生活習慣に関与する糖尿病)リスクの低下
  • 肺ガン、子宮体ガンのリスクの低下
  • 心臓病、心筋梗塞脳卒中(総じて心血管疾患)のリスクの低下
  • 胆石のリスク低下
  • パーキンソン病のリスクの低下
といった具合です。この四つ全てはメタ分析による研究結果だそうです。
メタ分析とは、様々な研究論文を系統的に評価する分析方法で、一つの研究課題に対して複数の研究論文を扱って評価する訳ですから、信頼度が極めて高いエビデンスになります。
更に、このメタ分析ではコーヒーカップ一杯ごとに、リスクがどれ位減少するのかまで記述されています。
  • 2型糖尿病は一杯につき7%減少
  • 肺ガンは20%、子宮体ガンは一杯につき25~30%減少
  • 心血管疾患は一日3、4、杯飲む場合15%減少
  • 胆石は一杯につき5%減少
  • パーキンソン病は一杯につき10%、一日3杯で25~30%減少
心血管疾患に関しては、一日一杯飲む場合でも、全く飲まない人に比べるとリスクの低下が見込めるようですが、5杯以上摂取するとかえってリスクが上昇するという結果が出て言います。やはり飲み過ぎは禁物です。

コーヒーを飲むデメリット

こちらもメリット同様に急性作用と慢性作用の二つがあります。

コーヒーの急性作用によるデメリット

 基本的には、前述したメリットと大きく変わる作用はありませんが、状況によってはメリットがデメリットに転じる可能性があります。

  • 一次的な不眠や不安
  • 筋骨格の活発化による痙攣など
  • 消化促進による吐き気、胃粘膜障害など
  • 大腸の活発化による下痢
冒頭では、どの食品にもメリットとデメリットが存在すると言いましたが、このようにメリットだと考えられている作用でも、場合によってはデメリットになりうるということです。

コーヒーの慢性作用によるデメリット

次に慢性作用についてです。

  • 膀胱ガンのリスクが上昇
  • 流産のリスクが上昇
  • 関節リウマチのリスクが上昇

となっており、膀胱ガンのリスクは一杯につき3~5%上昇するといわれています。

流産と関節リウマチに関しては、有力なメタ分析は存在するものの、一杯ごとのリスクの上昇率に関する研究が出されていないため、まだ分かっていません。

果たしてコーヒーを飲んだ方が良いのか

さて、本題はここからです。

上記のとおり、2型糖尿病や心血管疾患のリスクの低下が見込める一方で、膀胱ガンや流産のリスクが高まります。結局、コーヒーを飲む方が良いのか、悪いのかということですね。

結論から述べると、一日4~5杯のコーヒーを飲む人が最も死亡リスクが低かったという結論が、2012年にのべ40万人という人数を13年間追跡するという狂気じみた実験がアメリ国立衛生研究所の調査で分かっているそうです。

善悪を決めるのは難しい

本来は、コーヒーを飲むことでリスクが低下する疾患と、リスクが上昇する疾患は、それぞれの致死率や発症率、治療法などが違うために比較が非常に困難です。

例えば、

「Aを食べると、Aを食べない人に比べて病気Bの発症率が30%低下するが、病気Cの発症率は3倍に増加する。」

と聞くと、「Aを食べたらCを発症するかもしれない」と思う方がいると思います。

しかし、次の文章を続けるとどうでしょうか。

「病気Bは奇病で治療法が存在しないが、病気Cは治療すると100%の確立で完治する」

と聞くと、「やっぱりAを食べた方が良いかもしれない」と感じるかもしれません。

極端な例ですが、こんな具合で善悪をきっぱり決めるのは困難なことです。

結局は長生きできればいいのでは?

そこで、数ある病気の中でもそれらの死亡リスクだけを指標にするというのが、今回紹介した実験で用いられた方法です。

今回のコーヒーの場合は、コーヒーを飲むことによる心血管疾患のリスク低下による死亡率の減少が認められました。その他のメタ分析でも同じような結果が得られたそうです。

まとめ

今回の記事をまとめると、

  • コーヒーの急性作用には、メリットにもなる一方で、状況によってはデメリットになりうる。
  • コーヒーを飲む人は、そうでない人に比べて心血管疾患のリスクが減少する。
  • 一日3~4杯飲む人が最も死亡リスクが低かった。

 という感じになりました。

個人的な感想としては、3、4杯までいかなくても、中毒にならない程度にコーヒーを飲めば多少は長生きできるのでは、と感じました。

とはいっても、コーヒーによってリスクが減少する疾患で死亡する可能性が減るだけであって、最終的には人間は死に至るので、それ以外の疾患での死亡リスクが上昇するというオチも否めないのが現実です。

 

以上です。