睡眠の質を効果的に向上させる方法【睡眠負債編】
あなたは徹夜・夜更かしをしたことがあるだろうか。
もしあなたが、徹夜や夜更かしをしたことがあるならば、その次の日には睡眠の大切さを痛感することになることになるだろう。
特に、不眠症や入眠障害を患っている場合は、睡眠の重要性が痛いほどわかると思う。
逆に、健康的な睡眠を続けている場合は、睡眠の大切さを感じることは少ないことでしょう。(睡眠の大切さを知っているからこそ、健康的な睡眠をしている可能性もあるが。)
睡眠を怠る場合、あるいはその質が満たされない場合、その罪が翌日になって襲ってくることになる。その日が休日ならば、日中になっても寝ていることだってありうる。
加えて睡眠不足の人は、普段の状態に比べて注意力や集中力が驚くほど欠如し、活気を感じることのない一日を過ごすことになる。これは、誰もが経験した事がある現象なのではないだろうか。
根性で一晩を眠らずに済ますことはできるが、最終的には眠らずに過ごすことはできない。
一度でも睡眠を欠かすと、その後の生活習慣に重大な影響を与えることになる。
これらから、睡眠は我々において(勿論、人間だけではないが)重要な過程であることに違いないということが分かる。
中でも、一晩の徹夜によって狂ったリズムを、一日二日で完治するだろうと考えて軽視する人がいるが、それはとんでもない誤りなのだ。
今回はその理由と、睡眠不足をいち早く解消するテクニックを少しばかり、できるだけ短く述べていくことにする。
目次
不足分の睡眠を取り返すことは非常に難しい
睡眠負債という概念
この理屈を理解するには、「睡眠負債」という考え方を導入すると分かりやすくなる。睡眠負債とは睡眠をしていない状態の時に、この睡眠負債が徐々に溜まっていく。
そして、睡眠を取っていなければその分、睡眠負債が増え続けることになるのだ。
つまり徹夜明けの人、睡眠不足の人は睡眠をしていないが故に、睡眠負債を普段よりも多く抱えることとなり、一日中注意力や集中力が欠いた状態となっていると考えることができる。
この厄介な睡眠負債を返済するには、寝ることでしか解決しない。
しかし、睡眠負債は睡眠と覚醒の制御に大きく関わっていると言われており、犬を対象とした実験でも実証されている。
それが次に述べる「ツープロセスモデル」という説であり、1982年にボルベイとハムらによって提唱されている。
睡眠負債を理解するためのツープロセスモデル
睡眠負債は、何らかの物質が脳内に溜まることでことで、負債が大きくなっていると考えられており、その物質を睡眠物質と呼んでいる。
ツープロセスモデルは、睡眠物質の蓄積度と脳からの睡眠・覚醒信号の二つ要素を元に考える。次の図のように、覚醒中は睡眠負債が溜まっていき、睡眠をすると負債が減っていくというものだ。
この時に、比較的長時間の断眠を行った場合は次のような波形を取るようになる。
この場合、脳からの睡眠の信号を一度だけ無視しており、より多くの睡眠負債を溜めているため、普段のサイクルより多くの睡眠時間を取るようになる。
睡眠不足の状態で休日を迎えた場合に、日中まで寝ていられることが多いが、それは溜め込んだ睡眠負債を減らしている為であると考えられている。
これらが、睡眠負債に関する簡単な説明である。
徹夜明けは普段よりも長く寝ればいいのでは?
先ほど、睡眠負債は睡眠でしか解決しないと述べたが、返済しきれていない分の負債は普段よりも多めに睡眠を取れば解決すると思う人もいるかもしれないが、それがなかなか難しい。
つまり、睡眠不足による睡眠負債の返済は、スムーズにいかない事が多いのである。
主な理由は、睡眠負債は慢性的な要素を持っているからである。
もし、あなたの体は理性的に必要としている睡眠時間が8時間だとして、普段の睡眠時間が7時間だとすると、一回の睡眠で1時間の負債を抱えることになる。
この生活が長く続くと、1時間の睡眠負債を負うことが、慢性的になっていくというのだ。本来必要な睡眠時間は8時間なので、7時間の睡眠だけで問題ないように見えるが、実際にはパフォーマンスが低下しているのである。
休日になると、日中まで寝ているという人は多いと思うが、その時点で理性的な睡眠時間を確保できていないのである。
日中まで寝ていられる環境が整えば、慢性的な睡眠負債を全て取り払うことができるが、それでも3週間以上かかるといわれている。
休日を1か月近くもの間用意して、1日12時間も13時間も、あるいはそれ以上の間を寝ているなんてことは、可能ではあるが非現実的な話に過ぎないのである。
これらのように、睡眠不足による負債を返済するのは、簡単なようで難しいのである。
従って、睡眠の量を上げるよりも質を重視する必要があるが、睡眠の質は後述することにする。
睡眠不足がもたらす深刻で重大なリスク
ここからは、睡眠不足からくる注意力の欠如が、どのような危険をもたらすのかを議論していこうと思う。
非常に危険なマイクロスリープ
マイクロスリープという言葉を耳にしたことはあるだろうか。
マイクロスリープは、ほんの数秒の間か、あるいは更に短い一瞬の間に眠りに入ってしまうという現象のことで、その睡眠時間の短さゆえに「マイクロスリープ」とよばれている。
このマイクロスリープは、人間が強度の高い睡眠不足に陥った時に発生するのだ。
試験期間中の徹夜明けの試験中に、一瞬だけ寝てしまったなどという現象は、このマイクロスリープによるものである。
これが、車の運転中などの目が離せないタイミングで発生したら、大変なことになる。
もし睡眠不足の状態であっても、数回のマイクロスリープによってかろうじて脳の機能を維持が、出来ているといえるだろう。
思考力の低下
睡眠不足に陥ると、前述したマイクロスリープ以外にも思考力や判断力の低下、酷い場合は言語障害がみられるようになり、頭が冴えなくなる。
断眠実験は、昔から世界中で行われているがその多くは、僅か二日目から集中力の低下や体調不良の他にも、怒りっぽくなるといった症状がみられるようだ。
三日目以降になると、幻覚・妄想や強い疲労感、記憶障害、言語障害といった症状があらわになる。極度の断眠は精神疾患に近い症状まで出てくるのだ。
とはいえ、二日や三日の間連続して覚醒していることは、普段の生活では滅多に無いことだ。しかし睡眠不足が我々の生活に悪影響を与えるというのは、断眠実験の報告を見ても、これまでの経験を振り返っても、容易に理解できるであろう。
睡眠不足での運転は、飲酒運転並みに凶悪
これらの話をまとめると、睡眠不足による運転が、いかに恐ろしい行為かが分かると思う。
- 判断力が低下した状態で運転したらどうなるか。
- 運転中にマイクロスリープに陥ったらどうなるか。
- それを毎朝続けたら、いずれどんな目に遭うのだろうか。
時間を増やすのではなく、質を高める
前述したとおり、ここでは幾つか睡眠の質を高めるといわれている方法について、まとめることにする。
睡眠の量を増やすだけでは、なかなか返済できない睡眠負債も、質を高くすることで効果的に睡眠負債を減らすことができるのである。
太陽光を利用する
日光を浴びる
太古から輝き続ける太陽は、人間の睡眠に切っても切れない縁でつながっている。
その太陽をうまく利用することで、睡眠の質を大きく高めることができる。
具体的には、日中に太陽光を多く浴びて体内時計を刺激することで睡眠の質を高めることができるのである。
脳の視床下部にある視交叉上核は、その個体の体内時計を支配する役割を担っている。この視交叉上核が、体内の空腹や覚醒、睡眠、排泄といったサイクルを生み出すのである。
朝起きて、カーテンを開けた時に部屋に太陽光が入り込むわけだが、この時に太陽光は視床下部や眼球に作用して、その個体に覚醒の時間であることを知らせる効果がある。
即ち、朝起きてすぐに日光を浴びると良いのである。更に起床時に限らず、太陽光には日中に分泌されるべきホルモンを生成したり、体内時計の調節を促したりする働きがある。
これらから、日中に太陽光を浴びれば質の良い睡眠が保たれる。
皮膚にも光の受容体がある
寝るときは、完全に光を遮断したほうが眠りには良いというのは多くの人が知っている。しかし、皮膚にも光の受容体があることを知っている人は多くない。
目の網膜に光が入っていなくても、寝室に光があるだけで身体がその光を感知して、光に反応する臓器に信号が伝達してしまうのだ。
その証拠を裏付ける研究が存在し、被験者の膝後ろの皮膚の一部に光ファイバーによる光を当てて睡眠を取らせたところ(勿論、被験者の目には光は入っていない)、体温とメラトニンの分泌量に変化が生じた。このことから、光に反応する部位は網膜だけではないということが分かっていただけると思う。
寝るときは、寝室の光はできるだけ減らした方が良いだろう。
不快な朝を迎えない為の90分の法則
「前日に太陽光をしっかりと浴びたはずなのに、朝起きるのが辛い」なんてことがあるかもしれない。もしかすると、睡眠サイクルの途中で起きてしまった可能性がある。
レム睡眠とか、ノンレム睡眠といった言葉は、多くの人がどこかで聞いたことがある単語だと思うが、この睡眠の形態は90分ごとに変化してくる。
つまり、レム睡眠やノンレム睡眠の途中で起こされたり、アラームが鳴ってしまうと、気持ちよく起きることができなくなってしまうのだ。
従って、もし午後10時に寝るとするならば、90分周期で考えると7時間半を経過したころの5時30分ごろにアラームをセットすればよい。
足りないと思えば、これにプラス90分の7時頃にセットする。といった具合で、睡眠サイクルに支障をきたさないように起床時間をコントロールすると、不快に起きることは少なくなるだろう。
睡眠時は体温を下げる
入浴は、睡眠の2時間前
睡眠をする頃には、手足の血管が膨張し深部体温を下げようとする。こうすることで、スムーズに入眠できるのである。
入浴するタイミングは、この深部体温の調節にも一役買っている。入浴するタイミングは、睡眠をする約2時間前が理想的な入浴のタイミングであるといわれる。
入浴することで、一時的には体温が上昇するのだが、睡眠する時間帯になり体温が下がることで、温度差が大きくなる。この温度差が大きいほど睡眠に好影響があるとされている。
部屋は暑すぎず、寒すぎない位の室温
体温を下げたいからといって、部屋の温度を下げるのはあまり良い方法とは言えない。部屋が寒いと、手足の血管が収縮し体温が下がりにくくなってしまう。こうなると、効率的な放熱ができなくなってしまい、入眠に適切な体温をキープできなくなってしまうのだ。
体が火照っているときは裸足で、足が冷たいと感じるときは厚手の靴下をはいて血流を良くする。こうして効率的な放熱をして体温を下げると良いだろう。
参考文献
『SLEEP』ショーン・スティーブンソン著
『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治 著
『睡眠の科学』櫻井 武 著
【2020更新】試験期間の徹夜には効果が期待できるのか? 睡眠を活かして賢く勉強する
最近私は、勉強やスポーツ、ゲームなどを徹夜して続ける人たちをよく見かけます。
しかし、睡眠に関する内容を調べているうちに、徹夜という存在に疑問を抱くようになりました。今回の記事では、睡眠が記憶に与える影響、徹夜の影についてまとめました。
昔から睡眠は人間の記憶に大きく関わっているという研究が活発に行われてきました。
しかし、その研究論文のどれをとっても睡眠による記憶の低下や忘却などは見られることは無く、むしろ覚醒している個体に比べてより鮮明に物事を記憶していたのです。
つまり、睡眠は 勉強の効率を上げてくれる一つの方法なのです。
今や「昼寝は怠けの象徴」という認識も崩壊しつつあります。
寝ると効率的な勉強ができるのは本当か。
過去のデータを見る限りでは本当であると言えます。
眠ると、テストの成績が上がる
1924年に睡眠と記憶を関連づける最初の論文が発表されました。
この論文では、健康な人間を対象にアルファベットを組み合わせて作った10個の無意味な単語を午前10時に記憶させました。
その後、1~8時間の間「覚醒させたグループ」と「就寝させたグループ」の2グループに分離し、それぞれに覚えさせた単語を想起させる実験を行いました。
すると、就寝していたグループの方が覚醒していたグループよりも、遥かに単語の忘却が少なかったのです。
この実験の考察では、
睡眠中は覚醒時に比べ外部からの刺激が少ない為、記憶に干渉が起こらないから忘却が少ない。
という解釈をしています。この考え方を「干渉説」といいます。
しかしこれは、かなり昔の研究です。
以降の研究では、睡眠が記憶に与える影響はこれだけではないことが分かっています。
睡眠は、記憶を維持させるだけでなく「記憶の強化」も行う
昨晩はうまくできなかったことが、2日経ったら突然できるなったり、テキストが暗記できるようになるといった話はしばしば耳にします。
これらは、普段の努力と睡眠が関わっていると言われています。
2000年に発表された論文では、一回のトレーニングの後に24時間以内に再テストを行うがその際、最低でも6時間の睡眠をはさむことでテストの成績の改善が認められるという報告があります。
他にも、スイスのでは次のような実験が行われています。
学生60人を対象とした実験で、午後10時にすべての被験者に初めて耳にするオランダ語を学習させます。
そのうち半数である30人には仮眠室で仮眠をとらせ、残りの30人には学習室に残ったまま、学んだ単語のリスニングを行ってもらいます。
こうして午前2時に仮眠中の学生を起こし、60人で学んだオランダ語の試験を実施しました。
すると、覚醒していたグループはリスニングをしていたにも関わらず、睡眠を一度とったグループの方がそうでないグループに比べて高いスコアを出しています。
このように、睡眠中には記憶の維持のみならず、記憶の強化が行われているということになります。前述した「干渉論」では説明がつかないことが分かるかと思います。
睡眠で強化されるのは勉強だけではない。
睡眠では、単語や図形といった物を暗記することだけを強化したりする訳ではありません。
宣言的記憶と非宣言的記憶について
宣言的記憶とは
宣言的記憶とは、簡潔には言葉や文章で説明することができる記憶のことです。
例えば、「今日、山へ散歩しに出かけた」といった、時間や場所などの自身の体験を伴う記憶は宣言的記憶に当たります。
他にも、「山」とか「散歩」といった出来事に無関係な一般的な事項も、これに値します。
すなわち、先ほど説明したような単語を覚えさせる実験は、睡眠によって宣言的記憶がどう変化するかを測定したものとなります。
非宣言的記憶とは
対して非宣言的記憶とは、言葉や文章で説明することのできない運動能力や技能に関わる記憶のことです。
例えば、車の運転の仕方を他人に説明しろと命令されても、ハンドルの切り方やウインカーの出し方などの説明ができる程度で、道路の曲線に対してハンドルを切る角度や、車幅、車体の長さ、車高、重量といった車体の感覚は、説明しろと言われても非常に困難なことです。
こうした記憶(記憶というよりは「感覚」や「癖」といった方が分かりやすいかもしれませんが。)のことを非宣言的記憶といいます。
また、スポーツやゲームにおいても同じです。ゲームキャラクターの操作手順を教えても、すぐにはうまく操作できませんね。ある程度の慣れが必要です。
睡眠にはこうした、非宣言的記憶にも効果的に作用して強化してれます。
スタンフォード大学の男子バスケ部を対象にした実験でも、40日の間にシュート率と80メートル走のタイムが飛躍的に上がったという結果からも、明らかであるといえます。
徹夜について
これまでの議論をまとめると、試験前の徹夜は効果的ではないと言えます。
さらに、徹夜は効果が無いだけでなく数多くの深刻な弊害を私達に突きつけてきます。
これらの徹夜や睡眠不足による深刻な弊害に関する情報は後日、まとめて公開します。こちらの記事で、睡眠不足の慢性化と弊害について掲載しています。
それでは失礼します。
参考文献
Stickgold, R, et al : Visual discrimination tasc improvement *1
『スタンフォード式 最高の睡眠』 西野精治 著 サンマーク出版
食品に含まれる「GAVA」は本当に効果があるの? リラックス効果と質の良い睡眠を謳う製品の真相
こんにちは。
今回も睡眠に関する記事となります。
最近ではしばしば、睡眠の質の向上やリラックス効果などを謳った商品が数多く存在し、その中の殆どに「GAVA」と呼ばれる物質が入っております。
リラックス効果以外にも、不眠症の対策として摂取している方もいらっしゃるみたいです。
そもそも「GAVA」とはどんなものか想像できますか?
GAVAとは、人間の睡眠と覚醒を制御する神経伝達物質の一つです。
これはもともと人間が既に持っている物質です。
GAVAは人間の睡眠に作用する神経伝達物質なので、GAVAが活発になると眠気を感じてきます。
この特性を使って、睡眠前に摂取する食品に混ぜ込むことでより快適な睡眠を得ることができるということですが、
果たして本当なのでしょうか
という話題が今回の記事となっています。
目次
食品に含まれるGAVAは効果があるのか
結論から申し上げますと、効果は期待できません
とはいえGAVAはアミノ酸の一種で、脳内で睡眠に大きく関わっていることであるのは事実です。しかし、これを経口的に摂取したところであまり意味は無いのです。
なぜなら、人間の脳は必要以上の物質を脳内に取り込むことができないようになっています。これは血液脳関門という部位に阻まれ、むやみに脳内に物質を取り込まないようにできているのです。
これは、経口的に摂取しても注射して摂取しても同じ結果が得られます。
近年、リラックス効果などをうたって、GAVAを含んだ食品が売られてい る。(中略)そこでGAVAを摂るとよく眠れるのではないかと思われる方もあるかもしれない。しかし、GAVAを経口で摂取しても、血液脳関門に阻まれ、ほとんど脳に入らない。
『睡眠の科学』櫻井武 著
サプリメント場合は睡眠が誘発できる
サプリメントの場合
サプリメント中にグリシンと呼ばれるアミノ酸を商品として販売しているところがあります。このグリシンには睡眠の質を高めるデータが存在しています。
その理由として、グリシンは摂取した一部が脳内に入り込むことができ、脊髄の運動神経の制御を行うことで、筋肉の緊張を和らげるだけでなく、視床下部に働きかけて体温を下げる働きがあります。
そのため、質の良い睡眠に必要な条件を揃えることができるのです。
つまり、グリシンはGAVAとは違い間接的に睡眠に働くということになるのですね。
体温と睡眠の関わり
グリシンを摂取して体温が低下することで入眠しやすくなるのですが、体温(特に脳を含む体の深部体温)と睡眠には深い関係があります。
人間が眠りにつくとき、手足の温度が一時的に高い状態になるのですがこれは、手足の血管を拡張させ体温を外部に放出することで体の深部体温を下げているのです。
こうすることで深部体温が下がり、睡眠を開始するのです。この時に視床下部(特に視索前野)が重要な働きをしています。
逆に、体温が高い状態では入眠が困難になることも分かっています。つまり、入眠する前にお風呂に浸かるというのはあまり良くないのです。
かといって、寒い冬に会社や学校から帰ってきた直後のように手足が冷えていると、血管が収縮してしまい効率の良い放熱ができなくなってしまいます。
従って寝るときは、体温を上げ過ぎず寒く感じない程度の暖かい布団で寝ると良いですね。
体内時計を整えて質の良い睡眠を手に入れる
多くの場合、体内時計をコントロールすることで睡眠に良い効果を与えることが分かっています。
それは体内時計を支配する視交叉上核を光によって刺激することでリセットされます。
従って、毎朝カーテンを開けて部屋に多くの太陽光を取り入れたりすることで体内時計をリセットすることができます。
対して夜に多くの光を浴びるとなると、そこで視交叉上核がリセットされてしまい質の良い睡眠どころか、眠りに落ちること自体が困難になりかねないので注意が必要です。
逆に、眠気を素早く払うことはできるのか
可能です。具体的には、手足を冷やしたりカフェインを含むコーヒーやお茶を摂取することです。
手足を冷やすことには、前述した「体温と睡眠の関わり」の部分で話したことを逆のことを行っています。
深部体温を低下させる為に手足の血管が膨張し温度が一時的に上昇しますが、もし手足が冷えていると血管が収縮し放熱がうまくいかないということです。
これをうまく逆手に取ってる方法です。
ここで重要なのはカフェインの摂取の仕方です。
カフェインは眠気覚ましに効果的という話は周知の事実ですが、カフェインの接種の仕方で少し変わってきます。
もし、素早く眠気を覚ましたいというのであればホットで飲むことをお勧めします。
なぜなら、冷たい状態だと消化管の粘膜の血管が収縮してしまい、吸収するのに時間をかけてしまうからです。
ですから、眠気覚ましでコーヒーやお茶を飲む場合はホットで飲んだ方が効果的といえますね。
まとめ
これまでの内容をまとめると
- 食品に含まれるGAVAは摂取しても効果は見込めない。
- 暑すぎず、寒すぎない程度の布団で寝ると気気持ちよく寝られる。(当たり前ですね。)
- 体内時計は視交叉上核が支配しており、光でリセットされるため毎朝カーテンを開けて強い光を積極的に取り入れることで体内時計を整理することができる。
- 逆に、夜に強い光を浴びると体内時計が狂う恐れがあるので注意。
- 眠気を払うには、手足を冷やしたりお茶やコーヒーなどのカフェインを含む飲料を摂取することで解決する。
- 冷たい飲み物だと、消化管粘膜の血管が収縮し吸収に時間がかかるので、ホットの方が素早く効果を発揮する。
といったところです。
もし、睡眠の質を向上させたい場合は、いくつかの手順を踏んで努力していく必要があります。
これらは私の記事でまとめているので参考にしてみてください。
予防接種は超有害!? ワクチンの謎とは
インフルエンザの予防接種は学校などの施設で実施されていたりもします。
しかし、このワクチンによる療法は効果が殆ど期待できるものではないという研究が多数報告されているので、今回はワクチンについて述べていきたいと思います。
『理屈はともかく、さっさと結論を教えて欲しい!』って方は「まとめ」の項目をご覧ください。
1.インフルエンザワクチンの効果は期待できない
これに対する回答は主に2つあります
1つ目はウイルスの急激な突然変異性です
皆さんは、
「ワクチンは、どのような作用でウイルスによる感染を予防しますか?」
と訊かれたら恐らく、
「ウイルスを薄めたものを事前に体内に忍び込ませることで免疫(抗体)が作り出され、それによって次回の感染に備えることができる」
というようなことを返答する方が多いと思います。
しかしながら、事前に抗体を作ったところで殆ど効果を発揮しません。
なぜなら、ウイルスというのは爆発的な 突然変異性を持っています。
他の生物の細胞に入り込み、数時間のうちに数千もの子孫を作り出し、その一つ一つに突然変異の可能性が現れます。
ワクチンはその中の一つの株から作られるので効果が期待できないのです。
つまり、何千何万もの種類を持つインフルエンザウイルスのワクチンを創ったところで、接種したワクチンに対応したウイルスに感染するとは限らない。
ということになってしまいます。
ワクチンは、その年に流行しそうなウイルスを推測して創られているので、必ずしもワクチンの効果が発揮できるという訳ではないということです。
更に、現段階ではウイルスがどのくらい変異したら効かなくなるのかも、明らかではないのです。
2つ目はワクチンの投与先が血液中であることです。
病原体がダイレクトに血液中へ流れ込むことは、傷を負っていたり、動物に咬まれたりされない限り、 あり得ません。
それでも私たちは様々な病気を患ってしまうことがありますが、これは粘膜(目、鼻、口など)から侵入してきた病原体によるものです。
ですから、人間の免疫のおよそ80%が粘膜によるものであり、外敵から身を守るための強力な要塞にもなっています。
従って、ワクチンによって作られた抗体が血液中で増えたところで、粘膜の免疫が無防備なままで、全体として免疫が増したことにはならないのです。
この2点をまとめると、
- ウイルスは突然変異する確率が高く、ワクチンで投与により得た抗体が役に立たない可能性が非常に高い。
- 仮にワクチンによる抗体と、感染したウイルスが一致しても抗体の存在領域は血液中なので、免疫に殆ど影響を与えない。
ということになります。
それでも、莫大な費用を投資してワクチンを創ろうとするので驚きです。
2.ワクチンは効果が無いどころか、死亡リスクを高める
皮下に注射するワクチンといえど、劇毒であり 副作用が現れる可能性があります。副作用の重度は様々で、場合によっては死に至ることもあります。
では、具体的にどのような副作用があるのでしょうか?
ここでは「インフルエンザHAワクチン」を例に見てみます。*1
数種類のワクチンがまとめられて一つのPDFとなっています。
どの種類のワクチンも、冒頭には「劇毒」と記されています。
少しスクロールしていくと「副反応」の項目中に「重大な副反応」という項目があります。
これを見てみると、副作用の発生確率が「副詞」で分類されています。
- まれに:0.1%未満
- ときに:0.1~5%未満
- 副詞なし:5%以上、頻度不明
引用元:*2
と書かれています。
これらは「重大な副反応」であり全て命に関わる危険な副作用となっています。
- ショック、アナフィラキシー(まれに)
- 急性散在性脳脊髄炎(まれに)
- ギラン・バレー症候群(副詞なし)
- けいれん(副詞なし)
- 肝機能障害、黄疸(副詞なし)
- 喘息発作(副詞なし)
- 血小板減少紫斑病(副詞なし)
- アレルギー性紫斑病(副詞なし)
- 間質性肺炎(副詞なし)
- 脳炎、脳症、髄膜炎(副詞なし)
アナフィラキシーショックと急性散在性脳脊髄炎の二つを除いて「副詞なし」となっており、症状が現れる可能性が5%以上、あるいは頻度不明ということになります。
もしこの中に5%以上の可能性を持つ症状があるとするならば、20人が接種をしたときに、1人以上の人が何らかの症状に襲われることになります。冒頭に「劇毒」と記されている薬剤を皮下注射しているわけですから、当然と言われれば当然です。
それ以外にも、「その他の副反応」では蕁麻疹、湿疹、紫斑、発熱、悪寒、倦怠感、一過性 の意識消失、めまい、リンパ節腫脹、嘔吐・嘔気、腹痛、下痢、関節痛、筋肉痛、発赤、腫脹、硬結、熱感、疼痛、神経系障害など好ましくない症状が記されています。
次に、風疹の例を見てみます。
風疹は妊婦に感染した場合には重篤な症状が現れる可能性があるとされています。
これを防ぐために多くの人が風疹対策のワクチンを接種します。この場合の殆どが「MRワクチン(混合ワクチン)」という種類のワクチンを接種することとなります。
今回も、MRワクチンの添付文書を見ていきたいと思います。*3
まず注目すべきは「副反応」の項目です。
この項目には、205人に実施した臨床試験のデータが記録されています。
本剤の臨床試験において、接種症例205例中、接 種後30日間に85例(41.5%)の副反応が認められた。その主なものは発熱56例(27.3%)、発疹 25例(12.2%)であり、発熱のうち、中等度以上 (38.1℃以上)は36例(17.6%)、高度(39.1℃以 上)は12例(5.9%)であった。発熱、発疹の発 現頻度は接種後4~12日に高かった。なお、接種 後から数日中に過敏症によると考えられる発疹、 発熱があらわれることがあり、これらの症状は1 ~3日で消失した。また、鼻汁は19例(9.3%) 、 咳嗽は16例(7.8%)、注射部位発赤は15例(7.3%) に発現した
引用元:*4
と書かれています。
なんと、 薬剤を接種した半分近くの被験者が何らかの症状を訴えた結果となっています。
さらに「製法の概要」の項目では、ウシ、ブタ、トリなどの動物由来の血液や臓器が使用されており、これらを注射して血液に取り込み場合は、非自己のタンパクとして拒絶反応(アレルギー反応)が発生する可能性が十分にあり得ることとなります。
いくら綺麗に精製したところで非自己タンパクであることには変わりないのです。
これだけでなく、アナフィラキシーショック、紫斑病、脳炎といった重大な副作用が患者の身を襲うこ危険があります。
3.必要以上に恐れるべきでない病気達
インフルエンザや風疹の場合は、別名「三日はしか」とされており二日や三日で治療をせずに完治する軽度の感染症です。重度の病気ではないのです。
ワクチンはこれだけでなく、日本脳炎ワクチンや三種混合(ジフテリア、破傷風、百日咳)ワクチンなど多岐にわたります。
これらは感染すると重症化するリスクがあります。
ジフテリアの場合は、ジフテリア菌の感染によって症状が現れ、器官上部や眼、耳が冒され、昏睡、心筋炎を引き起こすとされており危険そうな香りがしています。
しかし、ジフテリアの感染者は年間でたったの2人。10年間(1991~2000)で21人です。
日本脳炎に関しても10年間(2007~2016)での報告数は55件であり非常に少ないです。
破傷風は破傷風菌により感染し、主に土壌に生息している。そのため、傷口からの侵入が多いとされるが、清潔であれば滅多に感染しないのです。
ワクチンを打つ以前に、発症するリスクが非常に少ない感染症なのです。
これらに対抗するために、劇毒を持つ薬剤を皮下に注射するのはギモンを抱くところです。
4.まとめ
これらをもう一度まとめると、
- ウイルスは突然変異性が高いため種類が非常に多く、流行を予測して創られたワクチンではカバーしきれない可能性が高い。
- ワクチンの投与先が血液中であり、粘膜ではないためウイルスが直接血液に入り込まない限り効果を発揮することがない。免疫として殆ど機能しない。
- 数多くの副作用が報告されており、発熱や嘔吐の軽度の副作用だけでなくアナフィラキシー・ショックや、ギランバレー症候群といった致死性を伴う危険な副作用も存在する。
- 報告数が非常に少ない感染症や、感染しても憂慮すべき病気でないことがある。
参考文献
『効果がないどころか超有害!ワクチンの罠』船瀬俊介 イースト・プレス
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/411-diphteria-intro.html
https://www.niid.go.jp/niid/ja/je-m/je-iasrtpc/6827-450t.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013nne-att/2r98520000013nz4.pdf
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/630144_636940CD1029_1_00.pdf
*1:
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013nne-att/2r98520000013nz4.pdf
*2:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013nne-att/2r98520000013nz4.pdf
*3:http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/630144_636940CD1029_1_00.pdf
*4:http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/630144_636940CD1029_1_00.pdf